鍛造とは字のごとく「鍛えて造る」ということですが、「鉄は熱いうちに打て」と若者の教育論にも使うように、鉄を高温にして叩くことにより鍛えると同時に、任意の形に形状を変えることをいいます
古くは日本刀の製造にも用いられた加工技術で、金属塊を叩くことにより素材の鋳造時に生じた泡、ガス(気孔)を圧着させ結晶粒を微細化し、金属組織を改良して機械的性質を改善する効果があります
そのため、近年は自動車等のとりわけ強度が求められる部品に多く利用されています
鍛造品の特徴
- 製品の最終形状に近い形状,寸法に成形することにより材料、工数を節減できる
- 切削加工の困難な形状でも量産ができる
- 金属組織が緻密となり、内部欠陥がない
- 引張り強さ、硬さ等、寸法等のばらつきが少ない
- 製品形状に沿った鍛流線(メタルフロー)が得られる
以上のような多くの特徴を持つ鍛造品は強靭で信頼性が高く、幅広い機械構造部品に使用される代えがたい素形材であると言われています
鍛流線 (メタルフロー)
鍛造品の内部に見られる鍛流線は鍛造していく過程で生じる金属組織の流れのことで、これにより切削加工や鋳造よりも強靭に仕上がります
鍛造品 | 切削加工品 | 鋳造品 |
---|---|---|
形状に沿った鍛流線 | 鍛流線が切断されている | 鍛流線なし |
靭性・強度↑ | 靭性・強度↓ | 靭性・強度↓ |
鍛造品の用途
鍛造品は、あらゆる産業や身近な日常生活の中で貢献しています
自動車では、トラック、バスから軽乗用車まで、幅広く用いられ、特にF1レースやラリーなどの過酷な競技には、その使用範囲はさらに拡大されます
また、競技といえばゴルフトーナメントでも、プロが愛用するクラブのヘッドのほとんどは鋳造品ではなく鍛造品が使われています
その他、航空機や鉄道などの最重要保安部品には、ビスの一本一本まで鍛造品が使われていると言っても過言ではないでしょう
この様に身近なものから最先端技術まで鍛造品がなければ成り立たないと言うことがいえるのです